物事に対して興味を持つことはよい事とされます。そして、皆さんは良い事だと思って手を出します。ただ、良い事だと言われている割にいろいろ手を出すことはつまみ食い的に悪い感じもします。 こうなってくると興味を持つことは必ずしも良い選択肢ではないことが分かります。
私は、「興味を持つことは必ずしもよい事ではない」と考えています。まずは、良い興味の持ち方について説明します。
良い興味とは
仮にクルマのことについて興味を持ったとします。最新のクルマでも、エキゾチックなスポーツカーでも構いません。例えば「ラフェラーリ」に興味を持ったとします。その場合、詳しい人に質問をしたときに「あの車はハイブリッド」「動的に空力を調整するデバイスが付いている」「シートは固定されており、ハンドルとペダルが動く」などの特徴を知らされると考えます。 ここで、これら全ての特徴に対してある程度の理解が出来ることです。
ただ、これらの言葉が全く理解できない状態の場合は良い興味だと言えません。そもそも、どうして質問をするほどの興味が生まれたかと言うのが謎です。この場合は、話題にするほど知識が無い話題だと思って興味は持たないほうが良いと考えます。
子供が図鑑を見て乗り物に興味を持つことは良いですが、すぐに飛行機、クルマ、船、ミリタリーなど自分の好きな分野を見つけ出し、より細かいスペックとか歴史、運用方法に興味を持つのが普通です。はっきり言いますが、小学校高学年くらいで、スポーツカーはスゲーっていう程度の評論しか出来ない場合は良い兆候ではないと考えてください。そして、これが大人だったら本当に問題があります。
ちなみに私は数年前まで「コンピュータオタク」だと完全に思っていました。これが間違えだと感じたのはリサイクルショップでコンピュータに詳しい店員がCore i7の型番まで暗記しているところでした。スムーズに出るわけです。ここで、私の知識は決してオタクではなく、単にショッピングのための軽い知識であったと考えます。まあ、コンピュータに興味など無いわけです。クルマを買い替える時にカタログを読む方々がカーマニアではないのと同様に私はコンピュータオタクでは無かったわけです。
良い興味とは
- 興味を持った内容を理解できる前提知識がある事。
- 教えてもらう場合、相手の話を最後まで聞けること
- 決して奇抜な見た目だけで動いていない事
です。
悪い興味の例
心理的体力が持続しない
最近、外で写真を撮っていたら年配者に「何の写真を撮っているの?」と声を掛けられました。まあ、相手が興味を持ったことだから、説明に入ろうとしたときに相手は興味を失いました。 ここまで早いのは例外ですが、興味を持ったのにその話を続ける心理的体力が無い人がいます。その時のメンタルなどの問題もあるかもしれませんが、もしそうであればあいさつ程度で終わらせておくことが良いと考えます。
写真撮影、未知なるスポーツ、奇抜な乗り物などつい質問したくなることには注意してください。 心理的体力が続かなければ無視する勇気は必要です。 あいさつ程度で良いわけです。
名前だけを知っている程度
スポーツカー、時計、自転車、コンピュータ、グルメなど名前だけを知っている物は多いです。この場合も興味は持たないほうが良いです。完全に無かったことにするのも良いですし、メモを取って後から自分で調べるなどしてください。
ただ、興味はあるが知識が無いということを「カミングアウト」したうえで話をするのは良いです。 「ロレックスを付けているのですか?時計には興味は無いですけど有名なブランドなので知っています」としてください。さすがにロレックスのオーナーもあいさつ程度だと考えて時計の話に深入りはしないと考えます。スポーツカーとか自転車も同様です。
知識が無い場合
笑い話ですが「16進数には素数はありますか?」と言うものがあります。これが完全に知識が無い質問の悪い例です。冷静に分析するとパターンとしては
- 素数は知っているがn進法の概念を知らない
- n進法の概念は知っているが素数は知らない
この二つが考えられますが、分析するのが馬鹿馬鹿しくなるほど怪しいです。濃厚な可能性としては両方とも名前だけ知っている状態である可能性が高いです。こんな状況で興味を持つのは危ないと考えてください。 16進数に素数はありますか? こんな疑問を持ったら、こっそりと自分で16進数と素数について調べてください。調べなくても個別にググってください。
ちなみにChatGPTに聞きましたら
「はい、16進数でも素数は存在します。例えば10進数で17に相当する16進数は11ですがこれは素数です」
どうでしょうか? 知っている人は理解できますが、知らない人は何を言っているのか分からない回答だと考えます。
興味が無い場合
興味が無いのに興味を持つ! 意味が分からないかもしれませんが多々あります。正確には興味のないことを話題にすることです。
- 質問したのに自ら話題を打ち切る
- 質問に回答中に別の事をする
があります。正直失礼な対応でもあるのですが、こういう人がいるのも事実です。そして、自分自身も「興味が無いことに興味を持つ」と言うことをしていないか考えてください。
もちろん、自分自身でこれを把握するのは無理と言うものですので、これは相手からの指摘に敏感になってください。友人知人や家族からの愚痴として
「自分から聞いてくるのに、すぐにその話に飽きる」
という話を聞いたら危険信号だと考えてください。
チェックリスト
以下のケースに対して興味を持っていたら注意です
- 単に見た目が奇抜な物(スポーツカー、面白い動きをするもの)
- 名前だけを知っている物(素数、量子コンピュータ、素因数分解)
- その物事に対して知的な議論を出来る知力が無い場合
- 込み入った話をする精神的な体力が無い場合
- 話題が無いから見える物を話題にする
これらには気を付けてください。
最後に
ナシーム・ニコラス・タレブ氏は著書の中でここで上げたようなことを皮肉っています。どこかにココナツなど生えていない「ココナツ島」と言うものがあるらしいです。この「ココナツ島」と言う名前を聞いただけで「ココナツの実」があると勘違いするバカがいると言っています。
冷静な話題では「宗教」という言葉は時代や場所で違い、「原理主義のような本気で信じているもの」「科学を基本に生活をしているが、副次的に心のよりどころとしているもの」「今でいう国家に近い物」などあります。これらの違いを考えずに全てを「宗教」と言う同じものと考えるのも「ココナツ島」にココナツの実があると決めつけることと同じと言っています。
私たちの興味の多くはタレブが言う「ココナツ島」の例えと同じ衝動で湧き上がっていると考えます。
もし、奇抜なスポーツカーを見た場合は
- クルマに対して突っ込んだ話が出来るか?
- そのクルマのメーカーは知っているか?
- 自動車一般の知識がすでに備わっているか?
- その話題を続ける知的好奇心や知的体力があるか?
- 睡眠不足ではないだろうか? 精神的に疲れていないだろうか?
こんな自問自答を一呼吸おいてしてください。そして全てを満たしていなければ無視してください。または、こっそりとメモをとるか、インスタ映えするからと言って写真を撮った後で調べたりググってください。
無駄な興味はあなた自身の体力を削りますが、自分が食らうだけなので問題は少ないです。ただ、それ以上に問題なのは、相手に対する態度です。
質問して置いて話を聞かない
相手に対して最悪な行動ではないでしょうか?

