【縦割り組織】標準化、統一化は喜ばれない

 昔の職場の愚痴になりますが、これからの時代に有効な情報と考えますので書かせて下さい。

みなさん、標準化についてどう思いますか? 今まで多く有った手順や仕様がより少なく整理されるということです。

「今まで10種類あった機械が一つに統一されたので安く買うことできるし、使い方も同じなので使いやすい」

と言った良いことばかり生まれると信じられています。しかし、標準化が本当に良いことなのだろうか?

雪舟_慧可断臂図(1496)

コンピュータの統一化

昔の職場で3種類の装置を販売していました。それぞれには別の制御コンピュータが搭載されています。そのため、開発も在庫管理も面倒という問題が一部で上がっていました。

その後、制御コンピュータが統一されソフトウェアを入れ替えるだけで3種類の装置に対応出来るようになりました。ソフトウェアの開発コストは変わらないが、ハードウェアに関しては一種類だけの開発で済むのでコストは下がったように思われました。

しかし、この後問題が発生しました。取り扱う現場の混乱です。制御コンピュータが一種類だから、部品品番は一つで良いと企画部門が提案したが、現場では

「誰がどのタイミングでソフトをインストールする」

って話になりました。客先から部品の購入が有った場合にその制御コンピュータも発注を掛けることが出来るが、物流から直接出荷されるためソフトウェアのインストールが出来ません。対応策と反論としては

  • 出荷指示があったら客先に問い合わせてソフトのインストールをする
    物流部門ではそんなルーチンは無い。インストールをするサービス部門からは煩雑だから止めて欲しい。
  • 購入者にインストールさせる
    だれがそんな指示を出す。サポート部門から苦情
  • ソフト毎に別の部品番号として倉庫に登録
    今までと逆戻りだろ。当初の共通化の理念に反する
  • 3種類のソフトを入れておき、DIPスイッチやプラグアンドプレイで切り替える
    そんなROM領域は無い。3種類のシステムは別部門で開発されているから統合は難しい

がありました。結局は今までのオペレーションを全く崩さない。ソフト毎に別の部品番号を割り当てる対応に落ち着きました。 今回の統一化の利点は、ハードウェア開発が一つに絞られたことと、ソフト部門の開発キットが一種類になるのでソフトウェアエンジニアの融通が利くことだけになりました。 物流的な部品点数の削減や、現場でのコンピュータの使い回しが出来るといった柔軟性は提供出来ませんでした。

結論として標準化のタイミングは最初だけ

鉄道設備の話を聞いたことがありますが、駅ごとに全くシステムが違うとのことでした。隣の駅で不具合があった場合、そこの予備機を搬入して簡単な設定変更をするだけで使えるものでは有りません。 また、新規開発をする場合、駅ごとに違う仕様で行うことになります。

統一化は?って話を聞いたら。そちらのほうが混乱を生むので今のままのほうが安いとのことでした。

一方JR東海のリニア新幹線の駅は極端な標準化を行うとのことです。ホームの基本部分は全て同じモジュールを使い、高架型と地下型の基礎の二種類で対応するとのことです。そのため、すべての駅の配線の長さや機材が取り付けられるネジ穴の位置まで統一されるので、部品が統一されます。ソフトウェアも駅の識別子を変更することで対応するか、今なら仮想化技術で中央で処理し端末では表示だけという方法かもしれません。

色々書きましたが、リニア新幹線での統一化が出来るのは、最初だからと考えます。

統一化を阻む壁

それを体感する方法として、自宅に置いてあるポットとか食器とかの収納場所を改善すると考えてみて下さい。まず、家族がいた場合改善は出来ないと考えます。一人暮らしなら最初は改善できると思いますが、一週間後は元に戻っていることが予想されます。

そう、人って理屈で指摘されても今の習慣を変えることなど出来ないのです。これが、統一化が出来ない理由です。 あまり良い例えじゃないですが、某昔の独裁者はタバコが嫌いで、健康的な理由で国民にタバコを止めさせようとしましたが無理でした。そのくらい、既存の物事を変更することは難しいと考えます。

一般社員と標準化

新人のときから標準化とか再利用って研修で習いますが、真に受けないで下さい。社内で統一されていない事を見つけた場合も放置してその習慣に従うのが良いです。

公式文書で言葉のゆらぎや統一されていないナンバリングを見つけたとしても無視です。

周りがそんなに困っていない。であれば統一化など考えないで下さい。

エンドユーザと標準化

「全てのレジが統一したインタフェースになる」って誰が喜ぶでしょうか? 「転職魔」と「レジオペレータ研修係」「開発サイド」です。 多くのレジを使う人は統一化によって喜ぶのではなく

「また、ソフトが変わって面倒。間違え多いし、エラーの音で恥ずかしいし、朝からヤル気下がるわ」

って感想です。

また、昔の職場の話

例の統一化されたコンピュータについてですが、このコストダウンと言う考えは「トップレベル」を巻き込む話にしないと無理です。簡単に見積もって「経費の半分を節約可能」という試算をトップレベルに見せることが最優先です。トップレベルで方針が決まれば各部署は従うしか無いわけですので。

なので、失敗としてはこの統一化はトップレベルに対して魅力がないカイゼンだったと考えて終わりにします。

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 「りんがんぐりぐり」と歌っているネコのが有名な動画で流れている音楽は 「灵感古力古力古力 灵感菇 灵感菇」という曲名らしいです。