映画 オッペンハイマー を見た感想 私が大好きなボンゴも登場します

 映画オッペンハイマーを劇場で見ました。DVDが出てから見たほうが安いですが、それ以上に劇場で観たいと感じました。その理由としては高解像度のIMAX撮影をしており、その迫力も重要であるという前評判があったからです。これは家庭のテレビやパソコンの画面ではさすがに無理です。

また、話題の作品であることと個人的に話に興味があるからと言う理由もあります。正確には人物としてのオッペンハイマーは私としては地味な印象です。チームをまとめ上げたリーダーであり、実際の開発はその下の研究者であるという事を知っているからです。『フォンノイマン』や『リチャードファインマン』などの人物の方に興味があったわけです。

また、相当話が脱線しますが、ファインマン氏はボンゴの達人であったと聞きます。私はボンゴを叩くのが大好きなのでその縁で知っていたりします。

映画の話に戻し、この映画は原爆の技術的詳細に触れた映画ではありません。開発の大雑把な説明はありますが、具体的に何をやっているかは映画を見ても分かりません。「爆縮レンズ型」の原子爆弾の開発を行っていますし、そのための部品を組み付けるシーンも多くありますが説明は無しです。

また、戦争と言う部分に関しても描画が少ないです。そして、反戦や非核と言う部分や被爆国に対するメッセージと言うものもありません。

では、映画オッペンハイマーは何の映画なのか? それは人間としてのオッペンハイマーの取り巻く環境を描いた作品です。

最初は実習が苦手な科学者と言う描かれ方がされています。教授からはその点を酷評されますが、その一方で理論を考えることが得意だという事でその道を示してもらえます。その後、アメリカの大学で理論を教えます。

その後、原子力爆弾の国家プロジェクトの技術リーダーとして、著名な科学者をまとめ上げて原爆の実験に成功するわけです。しかし、その原爆が実用されたことにたいして罪悪を持ちます。

更にライバルの嫉妬から当時流行していた共産党狩りの犯人にされるわけです。

この映画はオッペンハイマーに向けられた評価から誹謗中傷までを観客と一緒に味わえる映画です。

映画が始まってから終わるまで、オッペンハイマーの視点で評価されて誹謗される体験が出来るわけです。

こんな体験が出来る映画は私はこれが初めてです。映画評論家からは「アラビアのロレンス」の主人公に似ていると言われていますが、アラビアのロレンスは主人公を引いた視点で冷静に見ることが出来ました。この点がオッペンハイマーとは違うと考えます。

「アメリカのプロメテウス」という言葉は強いメッセージに聞こえますが、私は陳腐に感じます。プロメテウスとは神から炎を奪った神話上の人物です。これを、画期的だが悪影響がある発明をした人に当てはめるわけです。余談だが「フランケンシュタイン」も「又は現代のプロメテウス」と言う副題がついていました。人造人間を作り出した「フランケンシュタイン博士」もプロメテウスと言うわけです。昔から使われる言葉なので陳腐なわけです。

この葛藤と言う部分に関しては、映画では言われていませんが、ファインマン氏が悩んでいたと言われています。しかし、彼の上司の「フォンノイマン」は「世界に対して責任を持つ必要はない」と言って安心させています。

プロメテウスの行動自体が非難されるわけでは無く、プロメテウスから譲り受けたものがどう応用するかの問題なわけです。

この世界に対して責任を持つ必要が無いという考えは虚無主義的な考えではありません。意味としては全ての人には何らかの直近の責任があり、それを果たしていれば世界全体は良い方向に向かうという考えです。

この映画だけを見ると、重大な決断をした人は「自分はプロメテウスであると」考えないといけないように感じます。しかし、これは間違えです。この映画を見た人は是非、「フォンノイマン」や「リチャードファインマン」の話も読んでみて下さい。

オッペンハイマーの下で働いた人の別の視点で考えられます。

最後に、原爆実験が成功した時は科学者たちは大喜びでした。オッペンハイマーももちろん、リチャードファインマンは大好きなボンゴをクルマの上で叩いたり、頭上に掲げて興奮しているわけです。

でも、それらは未来の応用に関してではなく、自分たちの科学的探究が成功したからだと考えます。

最後に私も、プロメテウスであるという自覚など持たないほうが良いと考えます。罪悪はプロメテウスではなく、プロメテウスから火を譲り受けた人が事を起こしてから考えるべきです。

Amazonでオッペンハイマー関連の本を買います。








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 「りんがんぐりぐり」と歌っているネコのが有名な動画で流れている音楽は 「灵感古力古力古力 灵感菇 灵感菇」という曲名らしいです。