最近リサイクルショップのポイントでカシオトーンの32鍵キーボードを買いました。特にピアノとか鍵盤楽器に注力する気持ちも無かったので良いと思っていましたが、練習しているうちにストレスになってきました。 そこで、フルサイズのキーボードを探しに家電量販店に寄ってみました。
そしたら、展示品のそこそこ良さそうなキーボードがほぼ半額で売っていました。これはそそられました。ただ、キーボードを求めて店に行ったと言っても衝動買いに近いので、一度頭を冷やすために帰宅です。ただ、帰宅しても欲しいという気持ちが変わらなかったので翌日に買ってしまいました。
電子ピアノとかキーボードと言うと二年くらい前はそこそこブームになっていたと思います。その時はプリンタが必要で来店しましたが、電子ピアノ・キーボードコーナーはそこそこ充実していました。二つ分の島にヤマハ、カワイ、カシオの脚が付いた電子ピアノが展示されていました。そして、プリンタと同じで「コロナ需要」と「半導体不足」による欠品状態で入荷待ちでした。
しかし、今ではプリンタは変わらないですが、電子ピアノは壁際の棚二つ程度に展示スペースが縮小されています。足つきのピアノも棚に乗せられているわけです。そして、この写真のように展示品の処分をしているわけです。
今回買ったのは「ハラミちゃん」も所有していると言われているカシオのCT-S1です。特にこだわりがあったわけではありませんが値段が安くシンプルで、ピアニストが自分の名前で良いと言っているから大きな外れは無いと考えました。
ちなみに、88鍵のピアノタッチの「本物の」電子ピアノもありましたが、重たくてスペースが無いので買わなかったです。
弾いてみた感じは、本物のピアノが存在しているかのような音作りがされています。奥でピアノのメカがざわついているのを感じることが出来ました。面白い楽しみ方としてはボリューム最大で鍵盤を弱く叩くと本当にピアノの機械が動いている感じがあります。
音大や子供のピアノの稽古としては無理かもしれませんが、大人のピアノ趣味や打楽器奏者の練習用や作曲や音楽研究用途には向いているのではと感じました。
ピアノや鍵盤楽器をとりあえず楽しみたいという人はお勧めです。是非買ってみて下さい。
お勧めの人
- 鍵盤を押した強さで音が変わるものを求めている。(タッチレスポンス、ベロシティ)
- シンプルなデザインを求めている人(液晶モニター、7セグ表示なし)。
- 電源を入れればピアノの音が出る簡単さ
- オルガンやチェンバロなどにトーンを変更できる
- チープなカシオトーンの音を求めない人(残念ながら?音はリアルです)
- レッスン機能はスマホ連動で良い人(キーボードは光りません)。
- MIDI入出力(Micro USBケーブルでMIDIデバイスとして認識されます)
- 古楽器、バロック楽器、ピリオド楽器に興味がある人(音律が変更できます)。
- 電池で駆動したい人。内蔵スピーカーを求めている人。
- 机、ベッドなど好きな場所で楽しみたい人。
- チェンバロ演奏を楽しみたい人(プレクトラムが戻る音がします)。
です。特にチェンバロを古楽器の音律に合わせて演奏すると、バロック音楽でおなじみの美しい和音と時々現れる汚い和音で楽しめます。ちなみに普通な鍵盤楽器は「平均律」という方法で調律されています。平均律は全てが均等に狂っている調律です。古楽器の調律のように最高な和音と汚い和音が出る物ではありません。そう、平均律は全ての和音が均等に狂っているわけです。
音律について
現在はほぼすべての鍵盤楽器やフレット楽器は「平均律」で調律されています。二倍の1オクターブを「等比数列」で12に区切るわけです。12乗すると2になる定数を掛けると半音上がるわけです。
美しい和音とは二つの周波数を割ったものが「有理数」になる必要があります。古楽器の音律である「ピタゴラス音律」は基準音からみて全ての音が有理数の関係にあるわけです。ただ、基準音からズレた和音は著しく汚い和音になります。
しかし、平均律の場合は、有理数になる組み合わせはオクターブだけです。他は必ず無理数になります。しかし、有理数に近い無理数なので人間の耳にはある程度美しい和音として聞こえます。
平均律とは全ての人に微妙に妥協してもらう方法論です。他の音律は「特定の音は素晴らしいが、その一方で著しく酷い和音も発生する」と言うものです。社会に例えると「一部の人が素晴らしい生活をする一方で、一部の人が極端に悪くなる」と言うものです。
そう、平均律は全ての人に微妙な妥協をさせる方法であるわけです。
ただ、この平均律は実生活でほとんど苦情はありません。ピアノやギターなどの楽器は平均律です。オルガン、アコーディオンも同じです。鍵盤ハーモニカや木琴、鉄琴も同様です。カラオケ、ゲーム機、街のメロディー装置も全て平均律です。
CT-S1は音律を変えられます
まず、このサンプル(https://www.youtube.com/shorts/Xz0iI-X80Po)を聞いてください。音痴じゃないでしょうか?この原因は私の演奏がへたくそだから発生したのでしょうか? 確かに私はピアノのスキルは非常に低いですが、この音痴は演奏者のスキルの問題ではありません。
問題は、楽器の調律の問題です。実はこの演奏は「チャハルガー音律」という調律で演奏しています。情報があまりないので分からないですが、アラブ音楽で使われるものと言われています。
音律は世界に多くありますが、本機では17の音律に対応しています。民族音楽や古楽器の演奏を楽しんだり、研究したい人にもお勧めです。もちろん、クラビコードやチェンバロなどの古楽器を手元に置くのが良いですが、高価だしメンテナンスも難しいです。
であれば、CT-S1の音律を変えて、トーンをチェンバロに変えれば古楽器やバロック音楽のあの和音の雰囲気も体験できるのではと考えます。もし、失敗してもすぐに「平均律」に戻せますので安心です。
具体的な操作方法は Functionボタンを押しっぱなしにする。F2の鍵盤を一回押す。C2の鍵盤を一回押す。Functionボタンを離す。 これで平均律に戻ります。
CT-S1で設定できる音律
設定方法はFunctionボタンを押しっぱなしで F2 鍵盤を押した後で 以下の設定の鍵盤を押してからFunctionボタンを離します。これで好きな音律に設定されます。ちなみにC2とは本機では一番左のキーです。
- 平均律 Equal temperament C2 ←普通な音律
- 純正律長調 Just intonation Major C#2
- 純正律短調 Just intonation Minor D2
- ピタゴラス音律 Pythagorean tuning Eb2
- キルンベルガー3法 Kirnberger temperament E2
- ヴェルクマイスター第1技法第3法 Werckmeister temperaments F2
- 中全音律 ミーントーン Meantone temperament F#2
- ラスト音律 Rast G2 ←音痴
- バヤティ Bayati Ab2 ←音痴
- ヒジャーズ音律 Hijaz A2 ←音痴
- サバ音律 Saba Bb2 ←音痴
- ダシュティ音律 Dashti B2
- チャハルガー音律 Chahargah C3 ←もっとも音痴
- セガー音律 Segah C#3
- グジャリ・トーディ音律 Gurjari Todi D3
- チャンドラコウンス音律 Chandrakauns Eb3
- チャルケシ音律 Charukeshi E3